インスリンで糖尿病が完治するって本当?

2011年10月18日

糖尿病の早期にインスリン注射をすると糖尿病が完治する!?という特集が先日NHKの番組 (ためしてガッテン)で紹介されました。番組を見てインスリンを始めたいという方が当院でもいらっしゃいました。紹介された1日4回(毎食前の超速効型3回+夕の持効型1回)のインスリン注射は従来から普通に行われている方法です。どんなに血糖コントロールがひどい患者さんでも、入院してカロリー制限の食事と1日4回のインスリン注射を行い、そのインスリン量を調節することでほぼ2~3週間で著明に血糖が改善します。その後はインスリン注射を継続する方、飲み薬に変更できる方、飲み薬も不要となる方、に分かれます。病歴が浅く自分の膵臓から出る内因性インスリンが不足していない方はインスリン注射を中止できる可能性が高いです。ただしその場合も食事療法が正しく行えずに再び糖尿病が悪化することが良くあります。ですからインスリン注射で糖尿病が完治するというのは言い過ぎです。ただしとにかく著しい高血糖を認める方は、とりあえずインスリン注射で血糖を下げるのが確実です。またSU剤(オイグルコン・ダオニール・アマリール・グリミクロン)をのんでも血糖コントロールがつかず自分の膵臓から出る内因性インスリンが減ってきた方も、本当にインスリンが出なくなる前にインスリン注射をはじめるべきです。そしてインスリン注射の方も食事療法は必要です。