本当は怖い糖尿病、合併症は「しめじ」と「えのき」

2014年01月06日

一昨年末の三鷹市市報に執筆したものです。幸い多くの方に観ていただきましたので、再度上げます。

糖尿病とはすい臓から分泌されるインスリンという血液中の糖濃度を下げるホルモンの作用が低下して血糖値が高くなる病気です。すい臓からのインスリンが完全に出なくなる1型糖尿病と、インスリンはそれなりに出ている2型糖尿病に分けられます。大部分は2型でその原因は遺伝・加齢(高齢になるとインスリンの出方が悪くなる)・肥満・食べ過ぎ・アルコールの飲み過ぎ・過剰なストレスなどです。日本では現在1067万人が糖尿病といわれています。糖尿病は血糖が極端に高くならない限り普段症状はありません。症状がないからといって治療をしていない人も多いのですが、決して放置してはいけません。怖いのは合併症で進むと手遅れになることがよくあります。糖尿病治療の目的は、合併症を起こさずに糖尿病ではない人と同じ寿命を保つことです。高血糖の状態が慢性的に続くと全身の血管が障害されます。細い血管が障害されると糖尿病に特徴的な3大合併症を引き起こします。最初は神経障害です。手足の感覚がおかしくなり、最終的に痛い・熱いなども分からなくなります。全身の臓器にも神経は関係するので、便秘・立ちくらみ・尿の出が悪くなる・勃起障害などもおきます。次に網膜症という眼の合併症が出ます。網膜という眼の中にある膜の血管が出血して、最終的には失明します。更に腎症(腎臓病)が出ます。尿に蛋白がもれて全身がむくみだるくなります。最終的には腎不全で人工透析が必要になります。更に怖いことには、糖尿病の人は心臓や脳などの太い血管も障害されていることが多く、足の壊疽(えそ)で切断したり、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞になる人の多くは糖尿病およびその予備群です。糖尿病の合併症を覚えるのが難しいという方は、三大合併症を「し(神経)・め(眼または網膜症)・じ(腎臓)」、その他の合併症を「え(壊疽)の(脳梗塞)き(虚血性心疾患または狭心症)」として覚えてください。